【書評】『苦しかったときの話をしようか』 森岡毅

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読書

皆さんにはビジネスに精通した親はいましたか?

なかなかいませんよね。

キャリアについてお悩みの方も多い今日この頃。

昔だったら、終身雇用が主流でキャリアを考える必要性というのはあまりなかったのかもしれません。

選択肢があるということは幸せではあるものの、悩みという問題を生み出すのだと思います。

就活や昇進、転職に起業などなどと選択肢は非常に幅広くなっています。

何を指針にして私たちは行動していくべきなのか。これについては迷うこともあるだろうと思います。

そんな時にこの本です。

この本は森岡さんが就活に臨もうとする愛娘のために、書きためていたものをベースに作られています。(ひょんなことから編集者に見つかり、感動させ、出版するに至ったそうです)

キャリアについて書かれているとして有益な本でありながら、それ以上に感動を伴った本であると思います。

ビジネス書でありながら、感涙しました!!(私は非常に涙脆いので、参考にはならないかもしれませんが…)

森岡さんといえば、どん底のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を再建した功績が有名ですよね。

ずっと関西にいる私はUSJができた時から、その盛り上がりを肌で感じています。

出来た当初はブームで友人たちも皆こぞってユニバ、ユニバと足を運んでいた記憶があります。ただ、その後何となく聞かなくなったなぁ。という印象でした。

ところが、いつの間にか復活し、一時ディズニーランドを超える収益を上げるに至りました。

この逆転劇については多少はこの本においても出てきますが、詳しくはこれまでに出た森岡さんの著書を参照する方がいいと思います。他の本も本当にいいので、またご紹介させていただきます。

この本の特徴はあくまでキャリア論、そして、父から娘へのアドバイスというリアル感だと思います。

元々出版する予定ではなかったものであるためか、非常に生の言葉が詰まっていると思います。それに加えて、森岡さんの紡ぐ文章はうまい具合に内面吐露があり、非常に説得力を有しながら、身近な印象を与えてくれます。

だって、ドン底のUSJを窮地から救い、「日本一」の遊園地にしました!!って経歴を聞いたら、スーパーマンとしか感じないじゃないですか。

読み手はスーパーマンの話として聞いてしまう。

それだと共感や理解はされないんだと思います。

「このスーパーマンも私たちと同じように悩み、苦労してきたんだ」と思わせるのが、森岡さんは非常に上手いと思うのです。(もちろん、あえてやっているのだろうとは思います)

そんな文才を楽しみながら読んでいただきたいものです。

・本の内容

森岡さんは世界有数のマーケターです。1996年、P&G(プロテクター・アンド・ギャンブルってすっごい名前だな…)でキャリアをスタートさせました。そして、2010年にUSJに入社し、獅子奮迅の大活躍。2017年に退社され、マーケティング精鋭集団「刀」を設立、現在に至るという形です。

この本において、主眼とされるのは「自己分析の重要性」だと思います。

自己分析がしっかり出来ていなければ、自身がどのようなキャリアを描くのかを定めていくことはできませんよね。自分という人間は何を望み、何をなそうとしているのか、そして、どういう人間なのか、を突き詰めて考える必要があるわけです。

例えば、本書で言及されている、重要なコンピテンシーとして、T(thinking)、C(communication)、L(leadership)の三区分(番外編としてI(innovation)もあります)があり、自身がどの領域に当たるかを分析(分析方法は本書を参照してください)し、自らの強みを考えていくことなどがあります。

その上で、自らに適した職能を積んでいくことが大事だというのです。

また、多少の変化はあるでしょうが、本質的には私たちは変わらない、つまり、本質として苦手なことはあまり変わらないということもおっしゃっています。

三つ子の魂百までと言いますもんね。昔から注意されていることって意外と今も言われていたりしませんか。

自らをしっかり分析すること、やっぱり大事ですよ。

「別に転職とか就職関係ないし」って方でも読んでいただきたい一冊です。

新たな自分が見えてくるかもしれませんよ。

関係ないんですけど、なんとなく最近肩書きがマーケターの人すごく増えた印象があります。(なんでだろう)

ともかく、マーケティングの思考法ってマーケターでなくても、有用な思考方法ですよね。

それを身につけるいい機会だと思って、一度手に取ってみてくださいね。

【参考】

この投稿のキャッチアップ画像等は「ダイヤモンド社 『苦しかったときの話をしようか』」(https://www.diamond.co.jp/book/9784478107829.html)の画像を引用しております。

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日常の中に彩りを

コメント

  1. […] 以前『いちばん苦しかった頃の話をしようか』のお話もさせていただきましたが、今回は森岡毅さんの『確率思考の戦略論』のお話をさせていただきます。 […]

  2. […] 私の影響を与えられた作品群トップ10を作るとしたら、おそらく入ってくるであろ一冊です。(まぁ、そう言ったものをちゃんと作った訳でもなく、そんなことはわからないのですが、書いたものだと、『LIFE SHIFT』や『苦しかったときの話をしようか』は入ると思います) […]

  3. […] でも、先日Twitterには書かせていただいたのですが、森岡毅さんの『苦しかったときの話をしようか』の講演に行かせてもらい、そこで長所を活かすことの重要性を繰り返し繰り返し指摘 […]

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