この本ずっと書きたいなぁ。と思っていたんですが、『エッセンシャル思考』を書くのに時間がかかってしまって(途中で放置してしまっていた…)いたので、なかなか書けなかったんですよね〜
一見、関係なさそうな、教師が書いた本と、効率本系の『エッセンシャル思考』。
いやいや、関係大有りですよ!!!
この本は『エッセンシャル思考』という汎用的概念を、教育の場において具体化した本です。
時間外労働、多忙の象徴的職業の一つとも言える、教職。
エッセンシャル思考のような考え方は一番程遠いイメージがありますよね?
ただ、先生は授業をやっていればいい、というような訳ではなく、実際は非常に多岐にわたる業務を行なっています。
そして、そこには日本が「大好きな」伝統や非効率業務の温床と化している部分があると思います。
実際には、私は教職の現場を知っている訳ではありませんし、個々の現場の個別性などもありますので、多くは言及いたしません。
所詮、教育実習の三週間の「外向けの情報」(母校は大きく変革が進み始めていたので、その点でも少し違うというのもありますが…)と大学での講義や本などの知識では大したことは言えませんしね。
この先生の存在を知ったのは、教育系のイベントの際に、この先生が講演なさったのを耳にしたことがきっかけでした。
そこで、この本が発売されることを宣伝されていて、発売日を今か今かと待ち望んでいました。
講演の内容としては、まぁ本の内容を抽象度を挙げて、まとめたというようなもので、非常に感動しました。
何よりこの坂本先生は実際にほとんど定時退勤しているというタイムカードの画像を証左として示していたのが、印象的でした。
凄く心躍ったことを覚えています。
教師に多忙さやそれに関連した問題は各所で指摘されていて、それだけでなく、様々な嫌な問題がニュースやワイドショーを賑わせている状況でしたから、こんな先生いるんだ!!と驚きました。
将来的に、優れた教師の方を増やしたり、サポートしたりしようと考えていた時に、こういった教師の方に出会えたことは非常に良かったと思っています。(自分自身で教師になるのは様々な経験や人間性から向いてないと思っているので、こうなりたい!!とは思わなかったのですが)
少し内容に入る前に、わかりきったことではありますが、なぜ定時退勤がいいのかについて考えてみましょう。
定時に帰ることができれば、自分の時間や家族や高他人に使える時間が増えます。
例えば、睡眠時間に当てるだけでも大いなる効果は得られますし、ジムで筋トレをしたり、スポーツに勤しむのでもいいでしょう。
その瞬間瞬間しかないお子さんの表情や成長にしっかりと記憶にとどめることができるかもしれません。
残業が悪とまでは言いませんが、やはり、定時退勤して何か他のことに時間を使うのは非常に大切なことだと思います。
では、何故残業は生じてしまうのでしょうか?
恐らく、基本的に定時退勤できないという事は勤務時間内に業務が終わっていないからこそ起こる訳です。
教師において、法律などの規定によって、絶対しなければならない業務以外は自由に程度や割合を決められることもあると思います。
そもそも、教師にとっての『エッセンシャル思考』的業務とはなんでしょう?
この問いを考えることに意味があると思います。
多くは「生徒の成長」に類する業務だと思います。
そして、自分の生産性を考える。
人は時間をかければかけるほど、より成果が比例増大するのではなく、時間当たりの生産力は低下していきます。
つまり、教師と生徒の両方の利益が最大化できる塩梅が大事な訳です。
この視点に立てば、生徒を思って〜という行為もしっかりと見直さなければなりません。
本書の中では、授業ごとのワークシートの作成や花丸なども生産性が低いものとして、やめることを推奨しています。
Twitterでも発信されているので、ぜひそちらもご覧になってください。
この先生の特徴として、Mr.Childrenが好き、サッカーが好き、ドラゴンボールが好きという点があり、この部分が非常に共感出来ます。
また、これらの例を頻繁に用いられることやさすが小学校の先生だなと思わせるような感覚的で、直感的にわかりやすい文章を書いているので、スラスラと読め、理解しやすいです。
本を読まないと言われる教員でありますが、坂本先生はしっかりと時間を作ることによって、非常に様々な本を読んでいらして、他の分野の実践を上手く取り入れていらっしゃいます。
この本は教育分野における『エッセンシャル思考』の実践としても興味深く、他の分野の方でも参考にできる部分は大きいです。
『エッセンシャル思考』という理論を実際に行ったというのはそれだけで非常に興味深い一例となるはずですよ。
最後に、少し考えなければならないのは、この例が小学校ということで、中高において、そのまま導入できるものではないということ。
部活動の問題が大きく、この部分はこの本を参考にして、次なる案を考えていかなければいけません。
もう一つはまぁ、凄い厳しいことを言ってしまうと、個々の子どもたちにとって、「絶対的」にいい先生になれる保証は当然ないということです。
やはり、何がエッセンシャルかは自分で考えなければいけませんし、各学校における状況は違うので、参考までにして自分の頭で考えなければならないです。
もちろん、この坂本先生はお見受けしたところ、非常に人間性も豊かで、私から見れば良い先生だなぁと思います。
ただ、生徒にとって良いこと、そして自分にとって良いことを考えたからといって、すべての生徒にとって、「良いこと」になるかはやはり難しいかも知れないなぁということです。(考えることが重要ですし、それも含めて、「人」と「人」が行う教育なのだと思いますが…)
「教職の経験もないのに偉そうなことを言うな!」と私自身も思いますが、まだまだ一つの面白い実践に過ぎないのかも知れない。
ということです。坂本先生がミッションにあげる「日本の公教育をよりよくする」ということにはまだ時間がかかりそうだなと。
ただ、これは批判という訳ではなく、この、ミッションに向けての旅路はまだまだ始まったばかりなのだから、教師の方はこの実践をしっかりと昇華し、自分の方法でまた実践を行うことで、この種の実践がより良いものになっていくのだと思います。
そして、私たちはこの実践に対して、着実にサポートしていくことが求められるのだと思います。
このミッションに近いものを私もイメージしているので、一層そう思います。
ただ、今は私は何も出来ていないので、この素晴らしい実践をしっかりと見守り、理解し、何かを生み出せるようにしていきたいなぁと思います。
コメント
[…] も、学ぶ部分は大いにあると思いますし、一つのケーススタディと考えれば、一層『エッセンシャル思考』への理解は深まると思います。(『さる先生の『全部やろうはバカやろう」』) […]