どんどん見通しが利かない時代が近づいていると感じるこの頃。
そんな時代の中で、学術的立場からだけでなく、複眼的な視点からこれからの、日本、そして、世界の姿を提示してくれているのが、この落合陽一さんだと思います。
落合さんはたくさんの本を出されていて(一時期は毎月出てたので、月刊誌かな?と感じるくらいでした)、他にも素晴らしい著書がありますし、落合さん自身は『魔法の世紀』から読むことを推奨しているのですが、今回はこの本を紹介したいと思います。
ちなみに私が最初に落合さんの作品に出会ったのは、『デジタルネイチャー』からでした。
正直わからない部分は確かにあったのですが、それでも価値のある本で非常に興味を惹かれて行きました。
最初は「落合陽一」と言えば、いわゆる「意識高い系」の憧憬の対象の筆頭格で、何となく信用できないなぁと思いつつ、「彼らが社会に影響を与えている部分もあるんだから、読んでみるかぁ」と手を出しました。
実際に読んでみると、やはりすごく魅力的な方に感じました。
本人としては「意識(だけ)高い系」を否定しているように見えますし、少しイメージとは異なりました。
何よりご本人が馬車馬のように、働いており何よりも行動を重視している方なのだということがひしひしと感じられ、衝撃を受けました。
次第にメディアの露出度も増えていったので、認知度も高まってきているのではないでしょうか。
文章としては文理融合をまさに体現しているような感じで、専門はガチガチの理系分野でありながら、歴史や文化に対しても造詣が深く、メディアアーティストでもあられるので、芸術にも特化しているので、本当に教養深い文章だと感じます。
『News ZERO』などでのコメントなどでもわかるように、非常に柔軟な考え方を持っており、確かになぁと感じさせられます。
こういった部分はこの『日本再興戦略』にも如実に表れていて、非常に驚かされます。
まさに、最高の本ですよ。
例えば、「日本にはカースト制が向いている」という一見、とんでもないことのように思えるような指摘もこの本の中にはあったりします。
でも、安定志向の人が多いにこの国において、カースト制は未来を保証する制度として機能し得るという主張です。
確かになぁ、と思う一方で、なぜ私たちがこの主張に驚きを感じてしまうのかというと、恐らく、「カースト制 = 悪 」という方程式で思考を停止してしまっているからではないか、とも感じました。
「江戸時代の士農工商に基づく、社会から解放し、「自由」を手に入れた」という歴史を学んだ私たちは士農工商的価値観に対して、一種の嫌悪感を抱いています。
職業を選べないことは「よくない」ことではあると思いますが、士農工商的制度がもたらすメリットについて、考えていないということが問題なのだと感じました。
「何となく」で評価することがあまりにも多すぎるし、情報を「そのまま」取り込みすぎると。
その点で、落合さんは非常に何事にも思考を及ばせ、先入観を超えていく人なのだと感じました。
私も「先入観」という存在をまず、認識し、思考を巡らせていくことが必要だなぁと痛感しました。
この『日本再興戦略』は文字通り、日本が「再興」していくための本ではありますが、その前に段階である日本という存在を「再考」していくプロセスが非常に秀逸な本だと思います。
知っているようで知らないことは何か?「常識」って何なの?ということを感じさせてくれる一冊です。
落合さんのように、来たる現実を受け止めて、それを見定めることが大切です。
「人口減少や高齢化がチャンスだ」というような主張もなかなかすぐには受け入れがたいものですが、論拠を聞いているとなるほど、と説得力を有している主張であると感じます。
人口が減るデメリットもあれば、逆にメリットもある。
このようなことは他にもたくさんあるかもしれないと感じさせてくれました。
そのようなマインドセットを有することが出来るように、落合さんの考えに触れるのもいいのかもしれませんね。
そして、何より行動することが大事だと身を以て教えてくれる方だなぁと思います。
ただ、そんな落合さんの主張であっても、本当にそうか?という姿勢は忘れてはいけないと思います。
「信者」となることにも意味はあるのかも知れませんが、大切なことはやはり自分の頭で考えることですもんね。
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