この本を読めばわかること・身につくこと
・ホモ・サピエンスという我々の種族に対しての見識を持つことができる
・歴史から映し出される人類を知ることで、「今」の私たちを再認識することが出来る
・全ての根源、「虚構」の重要性、その破壊力を感じる事ができる
このユヴァル・ノアハラリ氏の『サピエンス全史』は非常に多くの人に読まれ、影響を与えた人物は数知れず、凄まじい一冊だと思います。
ただ、偉そうに語っていますが、その存在は知っていたのですが、私がユヴァル・ノアハラリ氏の作品に触れたのは、この『サピエンス全史』の続編とも言い得る『ホモ・デウス』が発売されてからであります。(『ホモ・デウス』は発売してすぐ買いました。)
だから、普通の人とは逆の読み方をしている変わり者ですし、正直に申し上げると、まだ下を読んでない汗
そもそも『サピエンス全史』を読んだのが最近でして…(何してたんだろう?)
とりあえず、『サピエンス全史 上』は下を読んでいない分、まぁフラットな感想が言えるのではないかと思っています。(『ホモ・デウス』読んでたら色々おかしいのですが…)
そんな私の現状は置いておいて…
我々、ホモ・サピエンスの根源は「虚構」なのだな…という事を深く深く感じさせてくれます。
例えば、国家、宗教、会社、学校などなど。
これらは言ってしまえば、全て「虚構」です。
「そんな事ないやろ?」と感じてしまうかも知れませんが、日本という国は本当に存在しているのでしょうか?
誰かに「日本列島」と名付けられた島に、「日本人」と名乗る人々が住んでいる場所のことでしょうか?
例えば、学校。〇〇大ブランドなどやそれに基づいた評判や絆。これらも当然、「虚構」です。
「いや、ここにこんなに素晴らしいキャンパスが存在しているじゃないか!」と思われるかも知れませんが、それは建物に〇〇大と看板を立てかけただけで、実際には〇〇大は「虚構」としてしか存在していないのです。
「なんだよ。屁理屈かよ。」と思われるかも知れませんが、非常に重要なことだと思います。
私たちは「虚構」を心から楽しみ、「虚構」に熱狂し、「虚構」を恐れ、「虚構」に怒るのです。
お金だって、まさしく「虚構」です。
信用という名の下に価値づけられた、金属や紙切れに値段をつけたに過ぎない存在のはずです。
でも、私たちはそれを大切にし、日々それを疑うことなく使用している。
『NARUTO』なんかでもナルトくんは「火影」に憧れていますし、『ONE PIECE』なんかでもルフィくんは「海賊王」に憧れていますが、これらも全て「虚構」です。
「虚構」に対していいイメージがない人いらっしゃるかも知れませんが、「虚構」の重要性をこの『サピエンス全史』は語っているのです。
来たる東京オリンピック。
何故私たちは心待ちにしているのでしょう?(えっ、してない?)
それは、東京、つまり日本で行われるからだと思います。
単に近い場所で行われるから、心踊らされるのではないでしょ?
それなら、北京オリンピックや冬なら平昌オリンピックにももっと熱狂していたはずです。
日本で行われるということの期待や喜びを感じているのだと思います。
本当なら、テレビで見る人多いでしょうから、時間くらいも問題で、どこで行われようと、関係ないはずです。
でも、そうじゃない。
1964年に行われて、再度2020年に行われる。今生きているうちには日本で夏のオリンピックが行われることはないかも知れませんね。
つまり、私たちは「日本」という「虚構」の存在があるからこそ、協力し合えたり、心動かされたりするのです。
これが『サピエンス全史 上』でもっとも大切な知見だと思います。
このことは『ホモ・デウス』でも繰り返し唱えられていました。
このことを深く学ぶ事が出来るのが、『サピエンス全史 上』の最大の価値だと思います。
「虚構」がうまく扱えたからこそ、クロマニョン人でもなく、ネアンデルタール人でもなく、ホモ・サピエンスが繁栄したわけです。
『サピエンス全史』と銘打っているのですから、「虚構」の話だけでは終わりません。
ホモ・サピエンスが辿ってきた道を丁寧かつわかりやすく説明を加えていってくれる訳です。
特に農耕に関する記述は考えさせられるものがありました。
小麦が人間を奴隷化している、家畜たちへの行いなどは非常に興味深いものがありました。
ホモ・サピエンスである我々はどういう存在なのか?
という永遠の疑問に対して一つの有力な回答を与えてくれる一冊です。
今回は「虚構」について中心に書評をさせていただきました。
すごい分厚い本で、内容も濃い本ですが、文章は面白く、興味深いので、読みにくいということはないと思いますよ♪
非常にタメになりますし、必要なのは「読む」覚悟だけです。
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