この本を読めばわかること・身につくこと
・心理学に基づく印象形成についてわかりやすく学ぶ事が出来る
・世間に蔓延る「成功法則」を認識する事が出来るようになる
・「錯覚資産」の増やし方を知る事ができる
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』というタイトル。
皆さんはどう思いますか?
私は正直、「あぁ、あの感じね。やってんなぁ」と思っていました。(それでも、買って読んでるっていう矛盾は置いといて…)
人気ブロガーの個人に終始する成功体験だろうなぁと感じていた訳です。
でも、そういった本とは一味も二味も違っていたんです!!
正直、全てを鵜呑みにして、絶賛している訳ではありませんが、非常に興味深い観点であり、この視点は誰しもが認識する必要があるなぁ、と感じました。
本書の中心は「錯覚資産」についてだと思います。
「はて、錯覚資産って?」
となるのが普通です。
でも、確かに存在しています。
「人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚」は、一種の資産として機能するというわけだ。本書では、これを「錯覚資産」と呼ぶ。
ふろむだ(2018)『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』 14頁 引用
本書で挙げられている例としては、容姿や過去の経歴などです。
容姿が優れている方が有利な評価をされているにもかかわらず、評価している側は違う要因で評価した、と考えているというデータや過去の経歴が当人の実力によるものであるかは関係なく、その経歴に基づく優秀なイメージを形成してしまう事が挙げられています。
これは言われてみればよくある事ですよね。
前者については同じことを言っても、笑いで済まされる芸能人Aと瞬く間に炎上してしまう芸能人Bなどがありますし、私たちの日常生活でも違う人が言うと、良い結果になるのに、私が言うと…となる事がありますよね。
また、後者は「マッキンゼー出身」とか「〇〇大卒」などがありますよね。
そこでどのような成果をあげたかも吟味せずに、なんとなく有能な人だと感じてしまう事はありますよね。
こういったものがざっくりした「錯覚資産」の例です。
この「錯覚資産」を認識し、自らの「錯覚資産」を増やしていく事が本書のテーマであるのです。
「こんな事は書いてる作者はどうなの?「錯覚資産」はあるの?」という無慈悲な疑問も湧いてくるかも知れません。
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』の中で、ふろむださんは実社会ではいくつも起業し、上場させたりするような「成功者」であり、「錯覚資産」も十二分に有しているそうです。
では、何故、「ふろむだ」というペンネームなんか使っているのか?
それはまさしく「錯覚資産」を使わないためなのです。
実社会で生活し、活躍しているふろむださんの中の人が発する言葉には、その背景に中の人の、人格や歴史、成功などをまとってしまうため、「ふろむだ」に仮託することによって、「本当のこと」を語ろうとしていらっしゃるのです。
世の中の多くの事柄が実は実力による影響よりも運によるものが統計的に多いという指摘もされており、社会における実力の影響は想像以上に大きくないことが示されます。
ただ、その成功に基づく「ハロー効果」が形成され、それが大きな影響を与えていると指摘します。
ところで、「ハロー効果」はご存知ですか?
「なんか聞いたことあるけど… 何だっけ?」という方に。
後光効果という意味で、何かの能力などが優れているとそれに影響されて、他の能力や全体的な能力も優れていると感じることです。(まぁ、これの逆もあるのですが、とりあえずこの程度の認識で…)
このハロー効果の存在を知っている人でも、無意識にハロー効果に囚われてしまっているという…
このハロー効果の存在をしっかりと認識し、自分がハロー効果に囚われている可能性があるということを認識し、正しく実力を評価できるように尽力すること。
そして、「実力社会」という名の下に「実力」は優れているように見せながら、実際は「運」によって掴んだ成功を「錯覚資産」に変えて、戦っている成功者たちの存在を認識し、自らも「錯覚資産」を取得するために、「成功」することを目的とした一冊です。
正直、実力の影響の程度の小ささについてはなかなか納得いっていないのですが、このことについても、『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』の中で言及がなされており、「実力社会」で生きていると考える我々にとっては「信じられない」ものであるそうです。
この誰も語らず、目には見えない成功法則を信じるか信じないかは「自分」次第なのかも知れませんが、考えなければならないことだと思います。
『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』は心理学や行動経済学などの知識も織り込まれており、科学的に信用できる部分も担保されていると思います。
「錯覚資産」を手にするには「成功」が必要で、「成功」には「錯覚資産」が必要になるという鶏と卵の関係ですが、「思い浮かびやすくなること」で「成功」を得る可能性は高まると言います。
コンタクトする回数などを増やすことで自分を思い浮かべてくれて、チャンスなどが巡ってくるということだそうです。
こうした「成功」への道順をしっかり立てることで、より大きな「成功」を手にする事ができ、結果として、着実に「錯覚資産」を形成していく事が出来るのです。
全ては納得出来なくとも、多くの部分は理解できる部分も多いはずです。
この法則を身につけているかいないかで社会のシステムへの理解が変わってきますし、ぜひ一度この『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』を読んで吟味してみてください。
否定するにも、肯定するにもまずはそこから、ですよ♪
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