この本を読めばわかること・身につくこと
・合理的な減量を可能にしてくれる
・習慣を改める契機を与えてくれる
・単純化されたダイエットを学ぶことができる
先の投稿で、経済学という学問は人間の行動原理を分析する学問であるので、他の学問分野などとの結びつきがしやすいと言及しました。(漫画で読める最強のミクロ経済学入門!!/『この世で一番おもしろいミクロ経済学』 を参照していただけると幸いです♪)
これは私見ではありますが、それほど間違ってはいないとは思います。
ただ、この組み合わせはなかなか思いつかなかった…
それがタイトルにもある、ダイエット×経済学というものです。
確かに、ダイエットというのは意思決定の連続だと思います。
今日何を食べるのか、コーヒーショップに足を運んで、ブラックコーヒーを頼むのか、それとも、クリームがふんだんに乗った期間限定のフラペチーノを頼むのか、そしてどのサイズを頼むのか?
これだけでも大きな選択ですよね。
また、「夏まで5キロ痩せるぞ!!」と意気込む人間が、クリームを口の周りにつけて、ケーキをほう張っているというのも、一見非常に非合理で、経済学の分析対象としても面白いものであるかも知れません。
しかし、この結びつきは今までになかったなぁという印象は拭えないですよね。
その衝撃から、この本を手に取りました。
実際読んでみた感想としては、ちゃんとダイエット本してる!!
むしろ、経済学の要素少なくないかな?とすら感じてしまうほどです。
ですので、「経済学わかんない、興味ない」って方でもすんなり読めると思います。
費用便益曲線だとかAD-AS曲線なんて出てきません。
言ってしまえば、経済学者が書いたダイエット本です。
ダイエットに関する難しい法則なども出てきません。
これに関して、皆さんそれぞれに思うところはありますが、最新科学に基づくというような理論が良いのか、悪いのかなんて私たちにはほとんどわからないですし、数年経ってひっくり返されることもありますので、そう言った部分でのリスクはあまりないと考えれば強みなのかも知れません。
むしろ、人間の選択などに精通した経済学者ですから、人間の非合理さを基に構築し、実践したダイエット理論だと思います。
副題には「世界でいちばん経済合理的に体重を減らす方法」と銘打っている訳ですから、合理性というものをしっかり追求している一冊です。
例えるとすれば、ホームランを狙わず、確実にヒットを積み重ねるような一冊です!!(わかりづらい?)
筆者の1人であるクリスは18ヶ月をかけて、20キロを減量、そして、その体重を10年以上キープしているそうです。
もう1人の著者であるロブは34キロも減量!!
この量を減らしたというのもすごいですけど、キープしている、つまりリバウンドしていないことが本当にすごいと思います。
一時的なダイエット法ではなく、変えたのは習慣ということがわかりますね。
その習慣というのも、それほど難しくないものばかりです。
最終的には6つの大きな習慣と25のさらなる小さな習慣という形でまとめることができ、それを着実に実行するだけです。
ただ、人間ですからできない時もありますよね?
そんな時のリカバリー法もしっかりと説明を加えてくれていますので安心してください!
では、本書のコアな部分である、6つの大きな習慣を見てみましょう♪
・毎日体重を量る
・しっかりとした食事をするのは1日1度
・カロリーを意識する
・流行のダイエット法やダイエット食品に無駄なお金を使わない
・食事の変化を制限する
・プチごちそう/プチ断食の習慣を取り入れる
ロバート・バーネット/クリストファー・ペイン(2019)『やせる経済学』 298頁 引用
どうですか?
そんなに意外な、突拍子もないことはないでしょう?
まぁ、「そんなの無理!!」というものはいくつかあるかも知れませんが…
体重を量るということには賛否両論あり、それについては本書でも言及されていますが、条件をなるべく同じにした上で、毎回量ることができれば、それは他にない貴重なデータになります。
一喜一憂するのがいけないというように言及されたりすると思いますが、この『痩せる経済学』では、むしろ一喜一憂しようとまで書いています。
また、「3食神話をぶち壊す」という副題も第2章にはつけられており、人類に1日3食が一般化したのは最近のことであるという言及を行い、文化論や豊かさの象徴としてのものであるとします。
その上で、3食しっかり食べるのではなく、1食しっかり食べるに留め、他の食事は副次的なものになるように変えていきます。
ここら辺のマインドシフトは結構難しいのではないかなぁと思ったりします。
次にカロリー計算については推奨せず、カロリーを意識するに留めることを重要視します。
カロリー計算には時間もかかりますし、労力も必要で煩わしさを伴いますよね?
大体のカロリーを知っていて、それを基に行動するのが大切であるというスタンスをとります。
そもそもカロリーというものは同じ食べ物を食べたとしても、その個体差は大きいと言われていますから、なかなかあてにならない部分はありますよね。
必死で時間をかけて、計算したカロリーがそもそも違っているというのはなんだかやりきれないです…
前半部分の3つを軽く説明させていただきましたが、通底する考え方は「ダイエットを単純化すること」だと思います。
経済学においても、様々な要因を排除したりして、単純化することによって分析を行ってり、照明を行ったりしますから、そういった部分が現れているのでしょうか?
「ややこしい知識とか無理」という方にとっては非常にオススメです。
一時的なダイエットの中には、急激に筋肉もろともに下げて、体重という数値だけを減らすものもあります。
結果こういうダイエットはリバウンドを招きますし、将来的には危険を伴うものですから、しっかりと考えていきたいものです。
一方で、『やせる経済学』の理論は習慣そのものを変えていくものなので、急激に変わるものではないのかも知れません。
私たちにとって、適切な減量法、理想の体重を保つ方法というのは今なおわからないものですが、それを『やせる経済学』における実践の中から見いだすのもいいのかも知れません。
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