この本を読めばわかること・身につくこと
・人間の認知についての理解を深めることができる
・行動経済学の伝説的名著を知ることができる
・ノーベル経済学賞受賞者の代表作を学ぶことができる
近年の経済学において、急速に社会へ大きな影響力を高めている分野があると思います。
それが「行動経済学」です。
経済学は意思決定を分析する際に、どちらかというと、客観的に、合理性を追求して検証していくことが多いように思いますが、人間が意思決定する際に大きな影響を与えているであろう感情というブラックボックスについては「合理的」であるという文句を武器に看過していたように思います。
ただ、私たちは合理的な部分を持ち合わせながら、やはり感情という要素は非常に大きいですよね。
消費行動なんかは感情によるものは大きいのではないでしょうか?(人それぞれでしょうが)
人の感情というブラックボックスに対しての研究といえば、筆頭はもちろん、心理学。
つまり、意思決定を分析する上で、経済学が有していた問題を心理学で保管した学問が行動経済学なのです(主観です)
そんな行動経済学は次第に認知度や社会への影響力を高め、購買者の意思決定などの分析に基づいて、商品が開発されている例も多いように思います。
私たちが深層心理として何を感じているのか、どのように意志決定しているのか、などを知ることができれば、他の人が何を考えているか、人間とはどういう生き物なんか、そして、自分というものを内省することができると思います。
こんな部分もあって人気があるのかも知れませんね。
そんな今勢いの乗っている学問、行動経済学ですが、10年ほど前に出版された伝説的名著が存在しています。
それはD・カーネマンの『ファスト&スロー 』です。
このカーネマンはノーベル経済学賞を受賞した方であり、世界的に非常に知名度も高い方です。
『ファスト&スロー』は様々な著作を見ていても頻繁に出てくるほど、世界中に多大な影響を与えた一冊であると感じます。
最近で言うと、『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』がブログを基に本になり、ヒットしていた印象がありますが、この本はふろむださんの経験を基に作られた『ファスト&スロー 』の具体化本だなぁと感じさせられます。(『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』の中でも、『ファスト&スロー 』のついての言及やカーネマンについても出てくるのですが、皆さんが思っている以上に『ファスト&スロー 』の影響を受けているように見受けられます)
実際読んでみると、「嘘だろ…」「そんなはずはない…」と思う反面、「もしかしたらそうなのかも…」というような人に対する疑念が生じてきてしまうほど、深く深く考えさせられる一冊です。
私の影響を与えられた作品群トップ10を作るとしたら、おそらく入ってくるであろ一冊です。(まぁ、そう言ったものをちゃんと作った訳でもなく、そんなことはわからないのですが、書いたものだと、『LIFE SHIFT』や『苦しかったときの話をしようか』は入ると思います)
「何がファストで何がスローなんだ?」という疑問については、私たちの認知の二つの種類であると回答できます。
システム1とシステム2というように表現され、前者がファストで、後者がスローです。
一般に心理学で中心的に用いられる語で、システム1は自動的に働き、無自覚に作用する一方で、システム2は複雑な知的活動に必要な注意を割り当てるものです。
例としては『ファスト&スロー 』の中でたくさん挙げられているのですが、それは実際に読んでもらうとして、次に例で簡易的に理解していただければ、と思います。
① 1 + 1 = ?
② 19 × 24 = ?
どうですか?この計算式?
おそらく、①の方は否が応でも無意識のうちに2という答えが出てきてしまったことと思います。
しかし、②の方はすぐに答えは出てきませんよね?実際に計算したり、何となくの数字を想像したり、そもそも考えることをやめてしまったりしたはずです。
「難易度が違うんだから、当たり前じゃないか!」などと思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、まぁ簡易的なものなので、あまりお気になさらず。
次にこの問題を少し考えてみてください。(実際に『ファスト&スロー 』に記述されているものです。
バットとボールは合わせて1ドル10セントです。
ダニエル・カーネマン(2014)『ファスト&スロー 』 83頁 引用
バットはボールよりも1ドル高いです。
ではボールはいくらでしょう?
「バカにするな!!ボールは10セントだろ?」
本当に合っていますか?答えは「5セント」です。
意外と間違えた人はいらっしゃるんじゃないでしょうか。私も引っかかりました。
気がつけば大したことではないのですけどね。
これがシステム1の作用です。言い換えれば、システム2の怠慢です。
本来システム2が作用すればなんてことないのですが、作動しませんでした。(した方もいるかも)
でも、こういったことって結構ありませんか?
無意識で評価を下していること。
私たちにとって、システム1は素早く機能するものの、非常に雑です。頭を使うシステム2は論理的ではあるものの、労力を要するためになかなか機能しません。
このように私たちは適切な認知が出来ていないことがある訳です。
この考え方がこの『ファスト&スロー 』の根底の考え方になります。
非常に内容が濃い内容ですので、全ては書かないのですが、一度読んでいただければ、と思います。
極端な特徴によって、その人を評価してしまう、つまり、何か一点が優れている人は他の能力もすごく、逆に劣っている部分が目立てば、他の能力も低く評価されている、「ハロー効果」についての説明は必見です!!
「正しいのか?違う気もするが、確かに合っている気もする…」という葛藤を味合うことができますよ♪(いいのか…)
問題は上下巻で、800ページ以上あったりすることですかね…
下巻については追って記述します!
上巻だけでも素晴らしいクオリティです。
知っていることで大きなメリットを享受できると思いますので、覚悟を持ってお読みください。
時間的、労力的なコストは高い(一冊の値段は安い)ですが、リターンも大きいと思いますので、オススメですよ♪
※読む自身がないという方は『人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』をお読みになるとコアな部分はわかると思います。
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