この本を読めばわかること・身につくこと
・今や常識と化しているブルー・オーシャン戦略について再確認する事ができる
・正しいブルー・オーシャン戦略を学ぶ事が出来る
もはや本の名前の域に留まらず、一つの一般化された名詞である、「ブルー・オーシャン戦略」。
この戦略は非常に多くのところで使われていますよね。
ただ、実際にブルー・オーシャン戦略を本で読んだ方が全てというわけではないと思います。
私も本を実際に読んでみると、少しブルー・オーシャン戦略のイメージが変わってきています。
何というか、あまりわかっていない人が使っているのを聞いてそういう印象を抱いていたのか、私もよくわかっていない人であったわけです。
詳しく知っている人も前著から新版に2015年になっていますから、読んでみるのもいいのかも知れません。
私たちが今よく見知っていて、使ったりしているサービスや機能を具体例として挙げられていて、非常に実感を持って読む事ができると思いますよ。
では、ブルー・オーシャン戦略とはどういった戦略なのでしょうか。
よく知られたものなので、そういった部分はあまり多くは書きません。
これに関しては「第11章 レッド・オーシャンの罠を避ける」が詳述してくれています。
ここでは10個の罠と題された誤解が示されています。
一般には、というか以前の私が抱いていたブルー・オーシャン戦略の定義のようなものを思い起こしてみると、それは「熾烈な競争を新たな市場開拓によって避けて、利益を出す戦略」であるように考えていました。
これは正しいですよね(正確ではないかも知れませんが…)
『【新版】ブルー・オーシャン戦略』の中では、このように示されています。
ブルー・オーシャン戦略は、血みどろの戦いが繰り広げられるレッド・オーシャンから抜け出すよう、企業にせまる。そのための手法は、競争のない市場空間を生み出して競争を無意味にする、というものである。縮小しがちな既存需要を分け合うのでもなく、競合他社との比較を行うのでもない。ブルー・オーシャン戦略は需要を押し上げて、競争から抜け出すことを狙いとする。
W.チャン・キム/レネ・モボルニュ(2015)『【新版】ブルー・オーシャン戦略』32頁 引用
若干の違いはありますが、概ねはあっていると思います。
でも、その手法という部分に関しては誤りが多く含まれていました。
新市場開拓には、イノベーションであったり、マーケティングによって、ニッチな市場を見つけ出す事であったりを想定していました。
これが本書の中で真っ向から否定されていたのです。
例えば、イノベーションと同一視することに対して、
ブルー・オーシャン戦略はイノベーションそのものとは異なる。イノベーションは、ブルー・オーシャンとは違って幅広い概念である。その土台をなすアイデアは独創的で有用だが、価値を飛躍的に高めて多くの顧客の心をとらえる事ができるかは、別の問題である。(中略)実際、テクノロジーの革新者の多くは、ブルー・オーシャン戦略の基本をなすバリュー・イノベーションを、一般のイノベーションと混同し、そのせいでブルー・オーシャンの創造と制覇に失敗する。イノベーションではなく、バリュー・イノベーションこそが、ブルー・オーシャン戦略の要である。
W.チャン・キム/レネ・モボルニュ(2015)『【新版】ブルー・オーシャン戦略』305-306頁 引用
つまり、ブルー・オーシャン戦略の中核をなすのは技術的なイノベーションというよりも、その価値づけに関するイノベーションであるというものであるわけです。
また、技術的に新たなイノベーションに成功しても、バリュー・イノベーションの面で失敗すると、ブルー・オーシャン戦略としては機能せず、苛烈なレッド・オーシャンに留まり続けることになることも示唆されている。
次に、ニッチ戦略との差異についてはこのように示されています。
ブルー・オーシャン戦略をニッチ戦略と混同するのも望ましくない。マーケティング 分野では、精緻なセグメンテーションによってニッチ市場を巧みに手中に収めることが重視されているが、ブルー・オーシャン戦略はこれと逆の方向を目指す。買い手グループ間の大きな共通点に注目して市場の脱セグメンテーションを図り、できるかぎり大きな需要を取り込もうとするのだ。
W.チャン・キム/レネ・モボルニュ(2015)『【新版】ブルー・オーシャン戦略』307頁 引用
ニッチ戦略は確かに、もともとの市場では見過ごされてきた部分を焦点化するために、もともとの市場のパイよりも小さくなる事が常ですよね。
ブルー・オーシャン戦略はそもそも別の可能性を創出する事で、新たな大きな需要を創出するのです。
こういった部分に関して、ブルー・オーシャン戦略は勘違いされているのではないかな?と個人的に感じます。
何より私がもともと自分がそういった錯誤に囚われていたから、そう余計思うのかもしれません。
ブルー・オーシャン戦略などのように、社会に一般化されたものは多くの人がそれとなく使っていることによって、本来意味から乖離してしまっていることや本質がぼやけてしまうことがあると思います。
原典主義というのは問題は至上主義になってしまうと、問題もあるかと思いますが、一度くらいは目を通して、知っておくということも必要なのではないかな?とおもっています。
個人的にはランチェスター戦略の原典も読んでみたいなぁと思っていますが、なかなか市場に出回ってないんですよねぇ、古くて…
もちろん、科学にしても何にしても、後世の人がさらに理論を発展させ、より良いものとなっていくというのは常なので、最新版を読んでいくことは欠かせません。
難しいバランスではありますが、うまく実践していきたいものですね♪
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