『Everything(It’s you)』は根強い人気がある名曲ですよね。
特にサビ部分の韻は美しいです。
歌が下手な人(私)が歌うと、サビの空虚感が凄まじいので、「歌い手を選ぶよな〜」と感じる曲で、表現力を求められます。
結婚式までにも使われるほど、Mr.Children至高のラブソングの一つではあります。
何と無く聞いていると、「僕」が「君」に全身から永遠の愛を叫ぶような歌にも聞こえますもんね。
ただ、よくよく聞いてみると「ん?結婚式に使っていいのか?」という疑問も湧いてきます。
あくまで解釈の一つであり、明言されている訳ではないのですが…
しっかり何を歌っている歌なのかは吟味していく必要がありますね。
いくら『Everything(It’s you)』が名曲だからと言って、せっかくの晴れの舞台ですから、内容的に合わないものは避けたいですよね…
まぁ、皆さんの解釈の結果、「『Everything(It’s you)』は美しき、純真なラブソングだ」という場合は問題ないのですが、やはり一度しっかり考えてみることが大切ですね。
それでは解釈していきましょう♪
『Everything(It’s you)』 作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
世間知らずだった少年時代から 自分だけを信じてきたけど
心ある人の支えの中で 何とか生きてる現在の僕で
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
少年時代というのは誰しも世間知らずですよね。
周りの人間がなかなか信用できない時でさえ、暖かく見守り、支えてくれた存在がいたことを大人になってから気がつく。
そして、それは今もあまり変わりがなく、人間は誰かの支え無くしては生きてはいけない。
金○先生でも言われていますよね。「人という字は〜(以下略)」って。
弱音さらしたり グチをこぼしたり
他人の痛みを 見て見ないふりをして
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
結構まだまだ未熟な人間だったりしてしまう。
弱音や愚痴は良くないと思いつつもこぼしてしまうものなのでしょうか。
逆に弱音や愚痴をこぼせる幸せもあるだろうなぁと私なんかは思ってしまうのですが、まぁそれはそれとして…
他人が苦しんでいるのを見ても積極的に何かをできないでいる自分がいる。
これに関しては尽きることのない苦しみなのかもしれませんが、少しでもそういった苦しみを減らせるように努力したいですね。
幸せすぎて大切な事が 解りづらくなった 今だから
歌う言葉さえも見つからぬまま 時間に追われ途方に暮れる
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
飽食の時代。そもそも考えてみれば食べること自体が幸せです。
電気がつくことも、自由に水が使えることも、快適な室温も。
何もかもが幸せなことですよね。
あんまり言うと、「幸せおじさん」みたいになってしまうのですが…
でもこういった幸せを実感することはなかなか多くはないですよね。
なんでも手に入る時代。
本当に大切なものってなんなのか?
昔なら家庭を作り、子どもを育てていくことだったりするんでしょうけど、今は人それぞれ幸せの形、大切なことは違う。
かつてでは絶対的なものが存在していたのが、現在では非常に多様化している。
そんな時代の中では、何を訴えればいいのかわからないまま、資本主義的な時間の流れで、何かに追われるように日々を過ごす。
愛すべき人よ 君も同じように
苦しみに似た 想いを抱いているの
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「愛すべき人」としているのは少し気にかかりますね。
よくあるのは「愛する人」とかですが、「べき」が付いていますから、「(本来)愛するべき人」なんかを意味しているのでしょう。
それに対し、形式的に「愛している人」がいる訳ですよね。
『Everything(It’s you)』は桜井さんが浮気していた時の気持ちを歌にしたもの(詳しく知りたい人はググってね)とも言われているので、浮気相手に向けた歌だと考えると、解釈もうまくいくことも多いですね。
「幸せすぎて〜」の部分なんかは「家庭を築いて、子どもも作った。」それはいわゆる「幸せ」なんだろうけど、なんか違う…
そんな思いも含まれているのかも…
浮気をしたことがないので、その時の複雑な苦しみなどはわからないのですが、その部分も「苦しみに似た思い」には含まれているのかもしれませんね。
普通に考えれば、時間に追われるような生活、幸せの多様化などでしょうが。
それに加えて、ということもあるのかも知れません。
「浮気」「不倫」などの語が入ることで、この歌の解釈は広がっていきますね♪
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STAY
何を犠牲にしても 守るべきものがあるとして
僕にとって今君が それにあたると思うんだよ
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「Stay」という単語。
中学時代から英語でよく出てくる単語ですよね。
「滞在する」などを筆頭に多くの意味がありますが、「〜のままでいる」という意味も含まれます。
すると、「このままでいてくれ」、転じて「君は君のままで」という意味が近くなると思います。
で、「不倫」という背景を含めると…
不倫関係というのは女性側からしても嫌なもの。(時たま不倫が好きな人もいますが…)
そういった関係の解消を迫られたのでしょうか。
そして、このセリフ。
「何を犠牲にしても 守るべきものは君」。
「よくある話だなぁ。」なんて思っちゃいますよね。
「浮気」「不倫」ってある種確かな愛の形ではあるのかもしれませんね。
そんな背景もなく、単なる愛の囁きであるかも知れませんが…
もちろん、不倫や浮気は道義的には良くないことですし、私もしたいとは思いませんが、心理学的に障壁画あるほど恋が燃え上がる「ロミオとジュリエット効果」などもあり、非常に情熱的な恋の形になるのかもしれません。
家庭を顧みず、というのはやはりよくないことですが、その夫婦の間に何があったのかなんかはその二人しか、もしくは二人でもわからないもの。
一緒にいるのが辛くとも、一生添い遂げろというのは酷ですよね。
でも、それを強いる環境があるのかもしれません。
適切なプロセスをとって離縁できればいいのかも知れませんが、なかなか難しく、愛を求めて彷徨う。
ワイドショーなんかでは不倫なんかが大好きですが、所詮は個人の問題ですよね。
本当に浮気や不倫を無くしたければ、離縁しやすいシステムと離縁した後の子どものサポートを社会としてシステム構築していきたいものです。
夢追い人は旅路の果てで 一体何を手にするんだろう
嘘や矛盾を両手に抱え 「それも人だよ」と悟れるの?
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「夢を叶えたとして結果何になるか?」この問いは夢を叶えた人しか答えられないのだと思います。
この部分を桜井さんの内面吐露であるとすれば、Mr.Childrenは音楽業界においてはこの上のないような成功を収めた。
その結果として、桜井さんから「売れたくなかった」などという言葉が飛び出すほどに成功した結果に対する絶望の境地にMr.Childrenは至ります。
Mr.Childrenの成功もそうだったのかはわかりませんが、成功は時に嘘や矛盾を抱えこんだものなのかも知れません。
嘘や矛盾を含めて、「それも人だよ」と思うことができるのか。
その悟りの境地まで至れるのか。
成功者ゆえの葛藤。
そんな時に良くないこととわかっていても、不倫をしてしまったりと、ある種の「人の弱さ」が出てしまうのかも知れません。
もちろん、私は不倫肯定派では決してないのですが、個々の内情を踏まえないと判断できないと考えています。
一概に「不倫=悪」と考えていない点では不倫否定派でもないとは思いますが。
愛すべき人よ 君に会いたい
例えばこれが 恋とは違くても
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「君」への想いは恋とは違う感情であるかも知れない。
それでも、何に向けて進めば良いのかわからない「僕」にとっては「許されない恋」であったとしても、それは一筋の光なのかも知れません。
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STAY
僕が落ちぶれたら 迷わず古い荷物を捨て
君は新しいドアを 開けて進めばいいんだよ
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「君は君のままに。」
「成功者としての「僕」が廃れてしまったら、そんな「僕」のことは捨て、明るい未来に突き進んでいってくれ。」
なかなか無慈悲なことを願いますよね。
成功を収めたが故の「恋」であることも考えているのでしょうか。
これを言われると、返って「君」のそういった決断を妨げるような気もしますが、純粋な想いなんでしょうね。
一方で、成功し続けることへの覚悟とも感じることができます。
もっと言えば、成功し続けることの呪縛。
その呪縛と戦い続けることに命を燃やすという強い諦念の境地も感じます。
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STAY
何を犠牲にしても 手にしたいものがあるとして
それを僕と思うのなら もう君の好きなようにして
自分を犠牲にしても いつでも
守るべきものは ただ一つ
君なんだよ
いつでも 君なんだよ
作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
『BOLERO』より『Everything(It’s you)』
「君」も仮に「僕」と同じように、「何を犠牲にしても 手に入れたいもの」を「僕」と思うのであれば、「僕」はどうなっても構わない。
何より「君」が大切なんだから。
以上が『Everything(It’s you)』でした。
カッコいいギターのソロが印象的なロマンティックなメロディから衝撃的な内容ですよね。
解釈の流れを通そうとすると、「不倫」「許されざる恋」などの要素を入れなければいけないように思います。
不義の恋も一つの確かな愛の形なのだなと感じさせられます。
そもそも、私たちは不義の恋というものは好きですよね。
古くは平安時代の『源氏物語』や江戸時代は『曽根崎心中』など1000年近く愛されている作品もあり、最近では上戸彩さんと斎藤工さん主演の『昼顔』というゴリゴリの不倫作品が大ヒットしていたように思います。
「所詮創作の中の話でしょ?」と言ってしまえばそこまでですが、いつだって創作に憧憬を抱くものじゃないです。
その想像力こそが人間だと思います。
実態として、恐らく不義の恋は私たちの近くにある。
だって、浜崎あゆみさんだって、ねぇ。
この「不義の恋」をどう扱っていくべきかは常に問い続けなければいけないのかも知れません。
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